巻き戻し機能に至る道、そして未来のゲームデザインへ

ゲーム

ゲームクリアの助け「巻き戻し」機能

みなさん、ゲームは下手ですか?
はい、私は下手です。
私は、ゲームのシステムや世界観に対して、徐々に理解を深めていくプロセスが大好きなのでゲームを遊んでいるのですが、理論的な理解だけでなく、高度なプレイヤースキルを要求してくるゲームには悩まされます。
今回は、そんな下手ゲーマーの助け「巻き戻し」機能について迫っていきたいと思います。

ゲームクリア補助機能の簡単な歴史や、関連する話にも触れていきますので、興味がない内容のところは、どんどんスルーしてくださいね。

【著者スタンス】
ほぼ生粋のコンシューマーゲーマー兼、探求者。
アーケードゲームを遊ぶことはあっても、それは飽くまで家庭用ゲームのゲームデザインについて深く探求していくため。
インカム思想やサンクコストの概念から解放された純粋な単体完結娯楽商品として、家庭用ゲームはどうあるのが理想なのか?
その答えは、おそらく一生出ません。
だって、世界は万物流転、諸行無常だから。ああ、無駄って楽しいな。

アクションゲームが私たちに求めてきたもの

人間が、何かを視認してから反応するまでにかかる時間は0.2秒以上と言われています。
ビデオゲームにおいては、これに加えて、プログラムで処理されてディスプレイに表示されるまでの時間、筋肉を動かしてボタンが押されるまでの時間、コントローラからボタン入力情報が伝達される時間が加わります。
個人の身体能力や設備環境次第でその差は大きく異なりますが、1秒60フレーム換算の場合、反応の結果には15フレーム以上の遅延が起きているわけです。
プロ格闘ゲーマーはフレーム単位での戦いをしていると言われますが、それは視認してからの反応速度の話だけではなく、多くの局面では、行動予測とその選出、そして実行までの判断の素早さがフレーム単位で問われるからだと思います。
問われる能力や精度の度合いは違えど、結局のところ、すべてのアクションゲームはそれら能力の成長と適応を私たちに求め続けているわけです。

クリア補助機能の歴史

しかし、ゲームはプレイ進行による達成感を与えてこその娯楽ですから、プレイヤーにストイックな成長だけを求めてゲームオーバーにしてばかりいたら成立しません。
「私にもできそう」と思わせて誘い込む必要があるのに、「自分には無理そう」「何だか難しそう」と敬遠されては、ビジネスとしてもインカム(収益)にはつながりません。

コンティニュー機能の搭載

そこで、当時、アーケードゲームをリリースしていたゲーム会社は考えました。
難しくしてゲームオーバーを誘発させ「もう一回遊びたい」と思ってお金を払ってもらうより、「先に進みたい」という気持ちに対してお金を払ってもらおうと。
そして「コンティニュー機能」が搭載されました。
ゲームの表現力が日々進歩し、ステージごとにロケーションの変化があったり、ストーリー性を帯びて、ゲーム進行演出が強化されていくなか、この機能はインカム的にも大成功だったと思います。
なぜなら、コンティニューすればするほど、そこにサンクコストが発生し、途中で降りる気にさせない心理バイアスが強くなっていくわけですから。現代のスマホガチャと同じ仕組みなわけです。

このように、アーケードゲーム時代のコンティニュー機能は、意図的か否かは定かではありませんが、インカムシステムの一部として存在しました。
ところが、この機能がそのまま定価販売の家庭用ゲームに移植されたため、そこからインカム思想の概念は消えることになります。
こうして、純粋にゲームクリアを補助するものとしてコンティニュー機能は生まれ変わったわけです。

「チェックポイント制」「継続復帰制」の導入

コンティニュー機能の次に導入されたゲームクリア補助機能は、ミスしてもステージの特定地点に設置されたチェックポイントから再開できる「チェックポイント制」と、ミスしてもその場で復帰する「継続復帰制」でした。

アーケードゲームの1ステージ、あるいは1プレイの時間は3分程度で設計されていたと言われます。
その理由は、営利的な観点から回転率と収益性を高めるのに最適な時間だったため、とか、人間工学や認知心理学的側面から人間が集中力を維持できる時間の単位の一つだったから、とか諸説あります。
その3分、あるいは1ステージの中で、例えミスをしても、進んでいることを具体化して達成感を維持し、プレイヤーを諦めさせずに続行を促し、リトライ性、つまりはインカムを高める試みとして「チェックポイント制」は導入されたのだと思います。
「チェックポイント制」では、1ステージをさらに短い区間に分けて構成しているため、それぞれのチェックポイント間も小ステージとして成立するようにデザインされていて、比較的安全に仕切り直しができるのが特徴です。ゲームデザインの観点とインカム思想の間でバランスの取れたシステムだと言えます。

一方「継続復帰制」は、主に2人同時協力プレイができるゲームで採用されていました。
「継続復帰制」のゲームを2人でプレイしている場合、一方が生存している限りゲームオーバーにはなりませんので、お金をつぎ込み続ければ、誰でもエンディングまで辿り着けるという良い(?)側面と、復帰後一定時間無敵などの対処はありつつも「チェックポイント制」とは違ってゲーム内の状況はそのままなので、復帰後、即ミスというインカム思想の闇を疑う状況もあります。

ともあれ、いずれの機能も、コンティニュー機能同様、家庭用ゲームにおいては、進行感を維持し、純粋にゲームクリアを補助するものとなりました。

巻き戻し(リワインド)機能の搭載

そして、最後に登場するのが、ゲーム内時間やプレイ状況を巻き戻す機能です。

最初期に巻き戻し機能が導入されたのは、ミスした場合に進退極まったハマリ状態になる「倉庫番」などのパズルゲームだったと思います。
導入された理由は、ハマリという状況ができてしまうゲームだったから、というのはもちろん、「倉庫番」ぐらいのゲームなら、巻き戻すために保存しておくデータ量も、操作キャラクターの向きと位置(の差分)、箱オブジェクトの位置(の差分)の情報だけで済むので、当時のメモリ容量でも実現できたからだと思われます。それでも、調べてみた限りではPCエンジン版の「倉庫番WORLD」からの搭載だったようです。
ファミコンにも、数々のハマリ状態になるアクションパズルゲームがありましたが、これらには「ギブアップ機能」なる、自らゲームオーバーを選択し残機を減らしてやり直すという非情な機能がついていました。現代なら、ハマリ状態ができてしまうゲームデザインのほうが非難されると思いますから、大らかな時代だったと思います。

時間をアナログに巻き戻す機能が最初に実装されたのは、まだアンダーグラウンドな世界だったエミュレーター界隈でのことだと思います。
近年までに、ミニファミコンのような復刻版ゲーム機やレトロゲーム互換機も様々なものが発売されましたが、これらの多くは電子機器がハード的にゲームを動かしているのではなく、エミュレーターによってソフト的に動作させています。エミュレーターによって、本来無かった巻き戻し機能を実現させているわけです。

【補足】レトロゲーム互換機と違法性
過去の訴訟問題の解決策を参考にする限り、ゲームを動かすためのBIOS(ファームウェア)を独自開発している限り、レトロゲーム互換機そのものに違法性はありません。
サイバーガジェット製の「レトロフリーク」や、Hyperkin製の「RetroN 5(レトロン5)」、ディスクメディアのハードにも対応している「Polymega (ポリメガ)」といったレトロゲーム互換機では、カートリッジやディスク内のデータをmicroSDカードに読み出すことができますが、コピーガードのかかっているゲームは読み出しても動かないはずですから、ゲームの購入からゲームの読み出しまで、合法的にエミュレーターの機能を利用して遊べます。
2026年時点では「自身が所有する物理メディアをプロテクトを破らずに複製し他人には使用させない」限り、著作権法上の私的複製として認められやすいようですから「他人にあげない、他人からもらわない、動かないゲームは実機で遊ぶ」の3点さえ心がけていれば、法に問われることは無いと思います。
販売業者がゲームデータの入ったmicroSDカードをハードに同梱して送って来たり、OSの壁紙に著作物を利用していたり、といった違法性が勝手に舞い込むことはあるので、心配なら消去しましょう。
他にレトロゲーム互換機に関する注意点があるとすれば、レトロゲーム互換機は純正ハードと比べると物理的にとても貧弱だということです。純正ハード同様にカートリッジを抜き差ししていると、すぐに端子のピンが抜けてきます。大事に扱ってあげてください。

ゲームシステムとしての巻き戻し機能

元を辿れば、時間をリアルタイムに巻き戻す機能は、ゲームクリアを補助する機能として採用されたものではありませんでした。
当時のゲームプロデューサーなんて「ミスしたら時間を巻き戻せるなんて簡単過ぎる」「簡単にクリアされたら、すぐに中古に流れてしまって売上が落ちる」「そんな機能は搭載させない」といった短絡的な考え方でしたから、仮に開発側が作りたくても予算が下りません。

リアルタイムに時間を巻き戻す機能が実装されているゲームとして、最初に名が挙がるのは、Xboxの3Dアクションゲーム「ブリンクス・ザ・タイムスイーパー」のようです。
私は初代Xboxのゲームは5本しか持っていないので、本タイトルはプレイしたことがありません。
お笑いコンビのナインティナインがCMしていた、とか、やたら毛並みの描画の素晴らしさを推していた、とか、どうでもいいことは覚えているんですけどね。
本作のメインとなる巻き戻し機能では、操作キャラクターの時間は進行したままです。操作キャラクターの過去の残像とともに周囲の状況が巻き戻るので、これを利用してエネミーやギミックなどを攻略します。ミスから復帰する機能もありますが、リソース消費制なので、残機や回復の概念を時間が巻き戻るという演出で表現したものと言えます。

他には、主にPlay Station 2 でシリーズ展開された3Dアクションアドベンチャーゲーム「プリンス・オブ・ペルシャ」(時間の砂/ケンシノココロ/二つの魂)に巻き戻し機能が実装されています。
「トゥームレイダー」に巻き戻し機能が搭載されたようなものと想像して遊んでみましたが、やはり、そんな生易しいものではありませんでした。私は全作遊んで、全作とも途中で投げ出したんじゃなかったかな。この頃は「ゴッド・オブ・ウォー」と「トゥームレイダー」でお腹いっぱいでしたし。
本作でも、巻き戻し機能はリソース消費制なので、残機、回復要素の表現替えとなっています。
3作とも、当時の3Dアクションアドベンチャーゲームらしい難度ではありますが、多少の根気があれば、普通に面白い作品です。

あとは、数年前にインディーズゲームで話題になった「Braid」でしょうか。
ジャンルはサイドビューパズルアクションゲームですし、高難度をうたっていたので、てっきりゲームクリア補助のために巻き戻し機能が搭載されているものと思っていたのですが違いました。
先述の「ブリンクス・ザ・タイムスイーパー」同様、巻き戻すことによって、操作キャラクターの過去の行動をトレースする分身を作り出し、これを利用してパズルを解いていくのが、本作の本旨です。
これが、とても難しく、私は早々に自力クリアを放棄して、クリア動画を見ました。
しかし、アート、システム、ストーリー性ともによく作り込まれていて、とても高品質です。
本作のストーリー性は、語られる物語が面白いという類のものではありません。むしろ、テキストは詩的で意味不明ですらあります。しかし、ゲームプレイそのものから見えてくる物語背景は「プレイする叙述トリック」とでもいうような驚きを秘めています。
商用娯楽ではなく、芸術的とも言える作品を求めている方には、おすすめです。
もちろん、先述の通り、私自身はクリアしていませんが。

ゲームクリア補助のための巻き戻し機能

さて、ようやく近年になって、ゲームクリア補助のための巻き戻し機能を搭載したゲームが現れ始めます。その中の一部をピックアップして簡単に紹介します。

「フォルツァ モータースポーツ」「フォルツァ ホライゾン」シリーズ

ゲームクリア補助、および、ゲームの本旨である局面に集中できる機能として、巻き戻し機能が正式に実装されたのは「フォルツァ モータースポーツ3」が最初だと思います。
「フォルツァ」シリーズは、レースゲーマーにはよく知られた歴史ある名門レースゲームで、「フォルツァ モータースポーツ」シリーズはレーシングシミュレーター、「フォルツァ ホライゾン」シリーズは、オープンワールド型レーシングゲームとなっています。
最新作は、8作目の「フォルツァ モータースポーツ」と「フォルツァ ホライゾン6」になります。

元来、レースゲームは、ワンミスでそれまでのプレイの価値を水の泡と化すストイックなゲームとしての側面を持ちます。その様相は「レースであってもゲームではない」とさえ言えるでしょう。

「フォルツァ モータースポーツ」では3作目からリワインド機能として、時間と状況を巻き戻す機能が実装され、ミスした局面を何度でも巻き戻してやり直すことができるようになりました。
ライトゲーマーにはゲームクリアを補助する仕組みとして、コアゲーマーには難しい局面のみを繰り返し修練する仕組みとして、この機能は役に立ちます。

最近では同じくレースゲームである「ザ・クルー モーターフェス」や、パーティゲームとしての側面のほうが強い「マリオカート ワールド」にもリワインド機能は搭載されています。
しかしながら、各タイトルによってその在り方はかなり違っていますので、「フォルツァ」シリーズ同様の使い方ができるかは、また別の話になります。
この点に関しては、「フォルツァ ホライゾン6」と「ザ・クルー モーターフェス」を比較した記事がありますので、良ければ参照してみてください。

【関連記事】「Forza Horizon 6 VS ザ・クルー:モーターフェス 比較紹介」

「ファイアーエムブレム」シリーズ

任天堂の「ファイアーエムブレム」シリーズでも、近作は時間を巻き戻す機能が実装されています。

そのメインテーマ内で「手強いシミュレーション」と歌われているファイアーエムブレムでも、本ゲームの本旨がどこにあるのか?プレイヤーに自信を持って面白いと感じてもらえるのはどの局面なのか?を本気で考えられた結果なのだと私は信じています。

最初に巻き戻し機能が実装された作品は「ファイアーエムブレム 風花雪月」になります。
1ステージ内での使用回数制限があるものの、主人公(に憑いている存在)の能力「天刻の拍動」を発動することで1手単位で時間を巻き戻せます。
難度ノーマルで遊ぶぐらいならお世話になることはありませんが、仲間が倒れたら永久に失われるクラシックモードにしている場合は、保険として備えておくに越したことはないと思います。
キャラクターもBGMも素晴らしい「風花雪月」ですが、世界で最も売れた「ファイアーエムブレム」になったのは、この機能のおかげではないかと思っています。

以降、スマホアプリの「ファイアーエムブレム ヒーローズ」のオプション有料サービス「フェーパス」の機能の一つとして巻き戻し機能が実装され、シリーズ続編「ファイアーエムブレム エンゲージ」では「竜の時水晶」という設定で、最新作「ファイアーエムブレム 万紫千紅」では「フォトナの加護」という設定で巻き戻し機能が実装されています。いずれも難度ノーマルでは回数制限がないので好きなだけやり直せます。

この通り、「ファイアーエムブレム」シリーズでは、巻き戻し機能はもはや当たり前に実装されているものとなっています。

「デモンゲイズ エクストラ」

時間を巻き戻すのとは少し異なりますが、最近では「オートセーブ」が基本的に導入されていることもあって、アクションゲームに限らず、エンカウント式バトルのロールプレイングゲームなどでも、「チェックポイント制」のように、全滅したバトルの開始前や開始直後に戻れる機能が搭載されている作品が増えています。

「デモンゲイズ エクストラ」もその中の一つです。
本作は、数々の3Dダンジョンロールプレイングゲームをリリースしているエクスペリエンスが開発したゲームです。エクスペリエンスは、かつて「ウィザードリィ エクス」シリーズを開発していたチームムラマサの血筋ですので、ウィザードリィフォロワーとして歴史と実績のある会社です。

3Dダンジョンロールプレイングゲームは、ザコ戦でも全滅を余儀なくされる手強いゲームジャンルとして語られがちですが、本作にはリトライメニューが実装されていて、全滅しても、その戦闘の開始前からやり直せます。
また、本作には低コストでいつでも絶対に逃走できるスキルもありますので、初めて3Dダンジョンロールプレイングに触れる方でも、比較的安心して遊べると思います。

【余談】ウィザードリィは高難度?
実のところ、こういった機能は目新しいものではなく、古くはファミリーコンピュータ版「ウィザードリィ」を始めとする国産の「ウィザードリィ」シリーズや、ウィザードリィフォロワーであるエクスペリエンス製3Dダンジョンロールプレイングゲームの多くにも、同等の仕組みが実装されています。
国産「ウィザードリィ」シリーズでは、キャンプメニューを閉じたタイミング、戦闘を終了したタイミングなどでオートセーブされていたので、例え全滅しても、ゲームオーバー画面が表示されてセーブデータが上書きされる前ならば、リセットすることで直前のセーブからやり直すことができました。
ただ、説明書もなくロムカセットのみを貸し借り、あるいは売り買いしていた当時、特に子供たちがこの仕様を把握していたかは、はなはだ疑問です。そもそも「リセット技」と呼ばれ裏技扱いでしたから。
本シリーズでは、一つのパーティが全滅しても世界としての状況は継続され、全滅後にもそのパーティの遺体がそこに残り続けていて、別のパーティで救助することもできるというのが基本仕様でした。なので、全滅時にリトライメニューのようなものは表示されませんし、オートセーブ中のアイコンなんてものも、もちろんありません。つまり、ゲームを普通に遊んでいても、オートセーブからリトライできる仕組みであることを知る機会がないのです。
Apple版を遊んでいたようなお爺ちゃんが昔語りをしているならともかく、ファミコン世代以降でも「ウィザードリィ」が高難度ゲームとして語られがちなのは、これが理由なのではないかと思います。

「Nintendo Switch Online」

「Nintendo Switch Online」は任天堂のSwitch、Switch 2 向けの有料オンラインサービスです。
基本的には、インターネット環境を利用してオンライン(要素のある)ゲームを遊ぶためのサービスですが、このサービスを契約すると「Nintendo Classics」というコンテンツが付いてきます。

「Nintendo Classics」では、任天堂側から選出された各旧ハードのゲームを遊ぶことができます。
追加料金なしで遊べるのは「ファミリーコンピュータ」「スーパーファミコン」「ゲームボーイ」の3ハードのゲームになります。選出されたタイトルにはアクションゲームが多いですが、ロールプレイングゲームやシミュレーションゲームもあります。

ただ、昔のゲームが遊べるだけではなく「Nintendo Classics」に収録されているゲームでは「操作ボタンのカスタマイズ」「どこでもセーブ(ステートセーブ&ロード)」「巻き戻し」の3つの機能が利用できます。
高難度のレトロゲームでも「どこでもセーブ」と「巻き戻し」を利用することで、最後まで遊べるようにゲームクリア補助がされているわけです。

「ファイアーエムブレム」シリーズも収録されていますから、最新作同様に、巻き戻し機能を使って旧作が遊べるというわけです。気楽に旧作を懐かしんだり、現代の娯楽感覚で旧作を楽しんだりできるのは、プレイヤーにとっても、旧作ゲームにとっても、素晴らしいことだと思います。

それから、巻き戻し機能は、アクションゲーム以外でもかなり役に立ちます。
例えば、「真・女神転生」シリーズでは、エネミーである悪魔をパーティに引き入れるために交渉をするのですが、よく交渉決裂して逃げられたり、襲われたりします。シンプルに、この交渉を巻き戻してやり直せるのは助かります。
また、同シリーズには、コードブレイカーという数字の並びを当てて景品がもらえるミニゲームが存在します。コードブレイカーはプレイ後、勝敗に関係なく、どういう数字の並びだったのかが公開されますので、あとはその数字の並びを覚えて、時間を巻き戻し、入力するだけで必勝です。コードブレイカーでもらえる景品は、その時点で入手できるアイテムとしては、かなり有用なものが入手できるので、これもクリアの手助けになると思います。
ズルい?チート?いやいや、スーパーファミコン時代の「真・女神転生」シリーズみたいな、ゲームデザイン視点の欠けた低品質疑似3Dダンジョンを今遊ぶっていうなら、それぐらいのアドバンテージは必要ですよ。ダンジョン以外は不朽の名作と言ってもいいくらいの作品なので、遊んだことがない方は是非「Nintendo Classics」で。

【余談】「ファイアーエムブレム」の世界は運命論 乱数処理の話
「ファイアーエムブレム」シリーズでも巻き戻し機能が使えると言いましたが、攻撃をミスして巻き戻した場合、もう一度同じく攻撃しても、その結果は前と同じくミスになります。
これは「ファイアーエムブレム」では、命中率など確率の判定に固定乱数テーブル式の処理を採用しているからです。
固定乱数テーブル式は、処理を速く軽くしたかったレトロゲームや、フェアな確率を維持したいゲームでは、よく採用された方式です。
特定のタイミングで生成される乱数テーブルには乱数が並んでいます。命中率などの百分率用ならば、0~100の値が(10段階か20段階程度に分割されて)滅茶苦茶な順番で並んでいるわけです。そして、判定処理が行われると、そのテーブルから順次、数字が参照されます。ですから、命中率70%の攻撃をした時に、次にテーブルから参照される値が55だった場合、それは何回巻き戻そうが永久に当たらないのです。
つまり「ファイアーエムブレム」の世界は決められた数字の並びによって運命論で動いていると言っていいでしょう。では、クロムよろしく「運命を変える!」にはどうしたらいいのか?
それは、行動を変えることです。
攻撃をミスしても反撃を受けないユニットや、そもそも攻撃を当てられる見込みのないユニットに攻撃させてテーブルから参照される乱数を次の値にズラしたり、何もせずにターンを送ることで敵軍側に不利な値の乱数を押し付けて攻撃をミスさせたり、といった感じで立ち回るのです。
ちなみに、スーパーファミコン以降は、シード値を使ってアルゴリズムからその場で乱数を生成する仕組みが採用されることが増えました。
シード値はその名(Seed)の通り乱数のタネとなる値です。この値をアルゴリズムに入力して乱数を得ます。ゲーム起動時に時間などからシード値を決め、キャラクター移動やカーソル移動、ボタンが押された時などのタイミングで参照される乱数が変化していきます。
こちらの処理の場合でも、巻き戻し後の結果が変わらない時は、今までと違うキー入力をしたりすると乱数が変わって結果も変わってくるというわけです。
いずれにしろ、乱数処理がどちらのタイプかを見抜くことで、巻き戻し機能などをより有効に使うことができます。固定乱数テーブル式のポーカーゲームなんかだと配られるカードが完全に固定されていますので勝てない時は絶対に勝てませんから諦めも肝心です。

「コレクションソフト」あれこれ

「Nintendo Classics」に触発されてか、各老舗メーカーから発売されたレトロゲームのコレクションソフトには、追加のセーブ&ロード機能や巻き戻し機能が搭載されているものもあります。
本当にたくさんのタイトルが販売されているので、今回は特に機能が充実しているコナミ製品をピックアップしておきます。

◎Castlevania Advance Collection (キャッスルヴァニア アドバンス コレクション)
収録タイトルは、ゲームボーイアトバンスの「悪魔城ドラキュラ サークル・オブ・ザ・ムーン」、「キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲」、「キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲」の3作品と、スーパーファミコンの「悪魔城ドラキュラXX」です。

◎Castlevania Dominus Collection (キャッスルヴァニア ドミナス コレクション)
収録タイトルは、ニンテンドーDSの「悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架」、「悪魔城ドラキュラ ギャラリー・オブ・ラビリンス」、「悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印」の3作品と、アーケード版「悪魔城ドラキュラ」、そのアレンジ新作「悪魔城ドラキュラ Revisited」になります。

上記2タイトルは、今では「メトロイドヴァニア」として語られる探索アクションゲームとなった「悪魔城ドラキュラ(キャッスルヴァニア)」のコレクションソフトです。
どちらのタイトルにも、純粋なアクションゲームとしての「悪魔城ドラキュラ」も収録されていますから、軽く1プレイ遊びたいという時にも嬉しいですね。

それから「メトロイドヴァニア」については、他に記事がありますので、よければ参照してみてください。

【関連記事】「メトロイドヴァニア」という何か

◎がんばれゴエモン大集合!
ファミコン、ゲームボーイ(カラー含む)、スーパーファミコンから13タイトルが収録されています。13タイトル、圧巻ですね。
「がんばれゴエモン」シリーズは基本的にはアクションゲームなのですが、幅広く展開していたので、ロールプレイングゲームやアクションパズルゲームもあって、バラエティに富んだコレクションになっています。
一点、残念なのは、ゴエモン版ポケモンとも言える「がんばれゴエモン もののけ道中 飛び出せ鍋奉行!」が未収録であること。ゲームボーイカラーのタイトルなのですが、たぶん通信・交換・連動要素への対応が収録の枷になったのだと思います。

◎グラディウス オリジン コレクション
「沙羅曼蛇」シリーズも含むアーケード版「グラディウス」シリーズのコレクションソフトで、新作となる「沙羅曼蛇III」を含め、全7タイトル18バージョンを収録しています。
こちらにも未収録タイトルがあり「グラディウスIV 復活」だけ抜けています。
この作品は当時の複雑な基盤構成でポリゴンを使った3次元グラフィック表現をしていたので、その再現移植が厄介だったようです。技術的根拠によるコスト的断念、および商売人と職人の馴れ合いが原因といったところでしょうか。「どっちにしろ半端なものになるならプレイステーション2版入れとけば?」と思ってしまいますが、これを真摯と捉えるか、妥協と捉えるかは個々人の価値観次第ですね。

上に挙げたタイトルすべてに「いつでもセーブ」「巻き戻し」「ビジュアルギャラリー」「サウンドギャラリー」機能が搭載されています。いつでもセーブのセーブ枠も、各タイトルごとに10枠(グラディウスのみ全タイトル共通で100枠)用意されていますから十分でしょう。
さすがはファミコン時代から家庭用向けのゲームデザインが優れていたコナミといったところでしょうか。ユーザーのニーズにちゃんと応えてくれています。
ちなみに上記に挙げていない「悪魔城ドラキュラ」や「魂斗羅」などの初期のアニバーサリーコレクションには、いつでもセーブ機能はありますが、巻き戻し機能はありません。

手抜きなのか、信念なのか、そういった機能を搭載していなかったり、ただのダウンロード販売窓口でしかないコレクションソフトもありますので、追加機能を期待して購入を検討する際は、公式の商品ページで、よく調べることをおすすめします。

【余談】より楽しいゲームプレイ体験のために
飽くまで私個人の考えですが、近年、家庭用ゲームに巻き戻し機能が浸透しつつあるのは、先述のエミュレーターの影響だと思っています。
巻き戻し機能どころか、ステートセーブ&ロード機能を利用するだけで、レトロゲームの多くは、今なお、普通に遊んで面白いと感じられるものに化けます。
使い方次第で、ゲームオーバーによる戻し作業時間を大幅に削減でき、ミスした箇所を即座にリトライすることができ、ゲームの仕様によっては最も良い結果の選出もできます。
こうして、プレイヤー側でリトライの自由度を管理できると、元が高難度のゲームでも、それはメリハリのある冒険体験となり、ゲームオーバーにならないように易しく設計されたバランスのゲームより刺激的なものになります。
ゲームの製作側、開発側を問わず、彼らがこれらの機能によってゲームプレイの感覚が大幅に変わることを知れば、その中には、今までのゲームがいかにストレスフルな、あるいは逆に退屈な時間にまみれていたか、プレイヤーが自由に遊び方を選べることに失念してきたか、などなど反省する方もいたことでしょう。
なぜなら、これは「プレイヤーが楽できるから面白い」とか「便利なほうがいい」というような感想レベルで語られる話ではないからです。
様々な局面で難度が高いのは、その作品の個性なので、一向に構わないと思います。しかし「より面白さのみに集中させる仕組み」や「用意されている遊び方の自由度」に関する思考が抜けているのは、旧来のゲームデザインまでで思考停止していて、ユーザーの体験を向上させるUXデザインの観点にまで至れていないということなので、ものを作る者にとって看過して良いものではありません。
それに「クリエイターから提供されたルール内で与えられた課題をクリアするのがゲームだ!」なんて思想の実践は、もう個人でできることですから、営利目的の企業が作る商用娯楽として予算を割いてやるようなことではありませんよね。

まとめ

さて、ここまで語ってきたように、今現在はゲームクリア補助機能と捉えられているシステムでも、過去には様々な側面を持っていました。
また、新たにゲームクリア補助機能が加わることでゲームプレイ体験が変化したり、よりゲームが持つ面白さにフォーカスされた遊び方ができるようになったりすることも伝えられたのではないかと思います。
普段は遊ばないジャンルのゲームでも、こういった機能を搭載したタイトルに触れることで、自分でも想像もしなかった楽しい体験になることもあります。実際、私も純粋なレースゲームはほとんど遊ぶことはありませんでしたが、「フォルツァ モータースポーツ」のリワインド機能に触れてからはレースゲーム全体に対する認識が変わりました。
今回の記事が、みなさんのゲームライフの視野をより広げ、さらに楽しい世界へと誘ってくれる助けになれば幸いです。

編集後記

何、このブログ、長い、疲れた。
まあ、これだけ主題ブレブレで脱線だらけだったら、そうなりますよね。少なくとも個別に4本は書けるだけのテーマを含んでいますから。
「コンティニュー機能」などの段落は削除して「巻き戻し機能」に絞った記事への変更も考えましたが、すでに各段落に含まれる情報が水面下では互いに関連しているような状態になってしまっていたので、もう直すより先に進もうと観念しました。
その結果が14000文字超えです。一説によれば、ブログに最適な文字数は1500~6000文字程度だそうですから、これは考えものです。
こんな長文を、果ては編集後記に至るまで読んでくれた方、そこにいたなら本当にありがとう。
そして、願わくば、コンゴトモヨロシク。

何はともあれ、本記事が、皆様の何かしらの判断の助けになる情報になることを祈って。

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